ハンモックの日
よく飲みに行くお店のお客さんで、ぼくもよく知っているおじさん三人が日帰りツアーに行ってきたという。これからもいろいろと企画する予定だそうな。そこで、わたくしめもおじさんと言われるに充分の年齢を重ねているので、今後はぜひその会に参加を!と願い出た。すると、今度はなんでも、ハンモックを吊るのにいい場所を見つけたらしく、弁当およびハンモック持参で昼寝をしにいくとのこと。わおー、素敵! 行く行く行く行くーっ!
学生の頃の話。ぼくが一回生の時、軽音楽部の先輩K川さんは学祭の実行委員として、クラブから出向していた。学祭といえば、いろんなサークルや仲間が出す出店がつきものだけど、その中に学祭の実行委員が仕切る店もあった。ぼくが祭りの人ごみの中をブラブラしていたら、
「おい、さとみ!」
と声をかけられた。
「はい? あっ、K川さん」
ちょうどその出店でK川さんが店番をしていて、
「なんか買うてけ」
と言う。そこでは近所の作業所で作ったものを売っているそうで、いろいろと商品が並んでいる。
「え、え、え、金ないしなあ」
と、やんわり断りをいれようとしたら、
「なんや? おまえ、飲みしろはあんのに、ここのもんは買われへん言うんか? おっおっおっ?」
「いや、あの、あの・・・、買わないとは言うてません・・・」
「物はいいもんばっかりや。欲しいもんがなんかあるやろう。買うていき!」
先輩風が秒速百メートルでビュービューと吹き荒れる中、
「じゃあ、あの、あの、このハンモック、ください」
ということになったわけである。そんな高いもんじゃなかったはず。千五百円とか二千円とかそんなんじゃなかったかなあ。
実際ハンモックなぞを買っても家で吊るすことはない。まずもって柱がもたない。立派な家だったらいけるかもしれないけど、一般的にいって室内ではやめておくほうが賢明でありましょう。野外で木と木の間に吊るすといっても、そうそう理想的な生えかたをしている都合よさげな木立ちは少ない。ぼくはそもそもインドア派である。そういう所を好きこのんで探してまで吊るそうと思うわけでもない。ムーミン谷のスナフキンを思って、なんとなく買ったまでのことである。
それがここにきて、「ハンモック吊りにいい場所を見つけた」と言われれば、おお、これで二十年越しに買い物が生きることになる。行かぬ手はありますまい。
ハンモックの会決行の日、天気は快晴で、まさにハンモック日和。おじさん三人プラスぼく及びわが同居人の、今日の仲間しめて五人が、会の主催者O智さんの案内で公園の森に着くと、なるほどなるほど、五メートルほどの間隔で木々が生えている。
このぐらいの木の間隔がいいんですね。なるほどなるほど。
木がまた、ちょうどいいところで幹が二股に分かれて伸びていて、そこに紐をかければ、高すぎず低すぎず。なるほどなるほど。
着くなり、まずは乾杯。持ってきた弁当をしばらくつまんでから、いざハンモック吊りを開始。O智さんが持って来たハンモックの紐が細くて、試し乗りしたら切れて落ちたりして、わいのわいの、やいのやいの、なんやかやと吊るしていたら、飲み屋の若夫婦も遅れてやってきた。
ハンモックの上で横になると、おー、こりゃあいい。六月の初旬、日差しがきつかったら焼けそうと思っていたけど、木がたくさん生えているんで、木漏れ日がちょうどいい。
風もこれまた、ちょうどよろしい。
酒飲んで昼寝して、ツマミ食べて昼寝して・・・、と、うーん、マジ最高っすよO智さん! ぼくの初めてのハンモック、「ホテルに初めて泊まったら、そこはヒルトンだった」みたいなもんですよ、これは。
この日の風と違って、先輩風が吹きすさぶ中で買ったハンモック。あの時もしハンモックを買ってなかったら、今回のハンモックの話を聞いても乗らなかったかもしれない。そして、今日のこの心地よい風。なんかいろんなことがいっぺんに着地したような、とてもいい日になりました。
ここで一首。
「この風がいいね」と君が言ったから
六月六日はハンモック記念日。
字余り。失礼しました。
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ロック好きなら「ボブ・ディランしか聴いてない時期」というのをきっと一度は通るものだ。いわゆる「うまい歌」からは遠く離れた歌い方なのに、なんだこの磁力は! 曲自体も、他人がカバーするのを聴くとめちゃめちゃいい曲だということを改めて思い知り、ほとほと感心する。このアルバムだけで三週間は過ごせる。フォークの神様をロックが包摂していく瞬間をこのアルバムで感じとろう。






























