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2009年7月 5日 (日)

不痒蚊

Top_blue同居人は虫が嫌いである。確かに大量の虫が湧いている姿を見かけると、あんまり気持ちいいもんではないね。

セミもだめで、ぼくがセミのメスを捕まえて、扇風機代わりに静かに涼んでいると半径三メートルより向こうへ離れていく。

そんな同居人もゴキブリを家で見つけると、虫嫌いはどこへやら、スリッパをつかんで、親の仇を見つけたかのような振る舞いをする。頼りになります。

ぼくはその点、虫は普通に好きであり、嫌いである。不快害虫と言われるのは嫌いだし、夏休みの昆虫採集で子どもがとっ捕まえてくるようなのは普通に好きである。不快害虫が嫌いといっても普通に嫌いなだけだけど、そんな中でも、蚊だけはどうにも許せない。

刺されても痒くならなければいいものを、刺された後のかい、かい、かい、かい、かい、かい、かい、かゆーい、があるばっかりに、見つけると徹底的に排除の姿勢で挑んでしまう。刺されても痒くならなければ、血を吸う虫なんて今では都会の日常的な場面であまりないから、かえって血を吸う姿を愛でてやってもいいかもしれないのに。

「プーン」。部屋で見つけたとたん臨戦態勢。部屋には物がいっぱいあるから殺虫剤をまくようなことまではしないけど、相手の血(それはつまり自分の血だったりするんだが)を見るまでは許さない。

寝入りっぱなに耳元で「プ~ン」とやられようものなら、にわかに目が覚め、退治したあともなかなか寝付けず、もうっ! 次の一日が寝不足である。許せん!

実家の寺では木も多いし、さらにお墓に必須アイテムの花立てがある限り、そこでボウフラが湧き、蚊がいなくなることはほぼ絶望的である。玄関の外でお客さんと三分もしゃべっていると、複数箇所刺されるのはごく普通。許せん!

夏に境内の大掃除が終わって、勘定したら二十数か所刺されていたこともある。虫除けスプレーも大量発汗や水撒きの水を浴びて流れてしまって、部分的にしか効かない。かい、かい、かい、かい、かい、かゆーい。許せーん! 体じゅうウナを塗りたくって、布団に入ってもヒヤヒヤーンと寝られたもんじゃなし、かといって、かゆみ止めなしではもっと寝れんし。許せーん! 絶対許せーん!

ぼくはよく夢想するのであるが、ぼくがもし蚊の大統領だったら、我が蚊の国の全国民に「血を吸っても痒くならない手術(不痒手術)」を施すよう、法案提出するであろう。もちろん手術費用は無料である。この法案が蚊の国の議会で可決、成立、施行されれば、蚊取り線香などという毒ガス兵器を開発、使用する人間と険悪な関係に陥ることなく、今よりもずっと平和に暮らすことができるはずである。朕が蚊の国の啓蒙専制君主であったなら話はもっと早いのだが、今後の蚊の国の安定的成長のためにも、ぜひ国民に応援していただきたいところである。

蚊が刺すと痒くなるのは、相手に刺されていることを気づかれないよう麻酔注射をして、その成分が後々に痒くさせるんだそうだけど、あんなちっぽけなもんに刺されても痛くないっちゅうの(多分)。痒くなきゃ殊更に排除されんでもすむっちゅうの。

もちろん刺す相手は人間ばかりでないから、人の少ない農村、山間部や、子どもがヘルメットをかぶって自転車に乗っているような田舎には痒い蚊がいてもよろしい。しかし、政令指定都市など都市部に住む蚊については不痒手術が施されるべきである。

おお、そうだ、今流行りの遺伝子操作で、刺しても痒くならない蚊(不痒蚊)を作って、それをバーッとばらまいたらええんだ。そうだ、それがいい。今、植林業界では花粉症対策で、花粉の出ない杉を植樹し始めていると聞く。国家百年の大計である。ノーマルな遺伝子の痒い蚊は農村、山間部及びヘルメット的田舎で保存されておればよろしい。

蚊への不痒手術、もしくは遺伝子操作による不痒蚊の普及が達成されれば、蚊と人間との間に共存共栄の平和な暮らしが訪れるはずである。いかが蚊。

あー、かい、かい、かい、かい、かい、かい、かい、かい~の。

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